「のれん分け」とは?

 | 

「のれん分け」は古くから日本にある独立制度で、長年働いてくれた奉公人などに対して「暖簾(のれん)=屋号」を使って独立することを認めるものです。

では、「フランチャイズ」と「のれん分け」はどのように違うのでしょうか?

今回のコラムでは、そのポイントを解説します。

 

フランチャイズとは?

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会では次のように定義しています。

フランチャイズとは、事業者(フランチャイザー)が他の事業者(フランチャイジー)との間に契約を結び、自己の商標、サービスマーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう。』

フランチャイズビジネスのポイントは、次の3つになります。

  • 本部と加盟者は各々独立した事業体であり契約に基づく共同事業を行なう
  • 本部から加盟者にFCパッケージが提供される
  • FCパッケージの見返りとして、加盟者は本部に一定の対価を支払う

 

 

本部と加盟者は法律的にも財務的にも、それぞれが独立した事業体であり、フランチャイズ契約によって結ばれたビジネスパートナーの関係です。お互いの協力の元で「共同事業」を行なうものであって、同一経営体の元で「共同経営」を行うものではありません。当然ながら、経営の結果(成功/失敗)は、それぞれの責任になります。

本部から加盟者に対してはフランチャイズパッケージが提供されます。フランチャイズパッケージとは、「商標の継続的使用の許可」「経営ノウハウの提供」「継続的な経営・運営指導」などが含まれます。これらのものが、一連のビジネス展開に必要なものとして、包括的かつ体系的に、標準化されたパッケージとして提供されるものです。

そして、加盟者はこのパッケージの見返りとして、本部に対価を支払うことになります。対価とは、「加盟金」「ロイヤルティ」などです。また、必要な事業資金を自ら投入することになります。

 

のれん分け制度は2つのパターンに分けられる

フランチャイズでは、加盟者は、その業界・業態の経験やノウハウがなくとも最短で成功できるように、フランチャイズパッケージ(事業の仕組み)を買います。加盟者は、その企業(FC本部)で働いていたかどうかは関係ありません。

一方「のれん分け」は、古くから日本にある独立制度で、長年働いてくれた奉公人などに対して「暖簾(のれん)=屋号」を使って独立することを認めるものです。のれん分け制度を雇用のパターンから分類すると、「インセンティブ型(キャリアプラン型)」と「加盟前提型(ステップ型)」といった2つに分けることができます。

 

インセンティブ型は、正規雇用社員向けのキャリアパスとして会社が従業員の独立を支援するもので、従来の「のれん分け」に近い形態です。

これは、頑張ってきた従業員に対するインセンティブの意味合いが強いため、加盟金やロイヤルティの免除や減額、本部による貸付制度、銀行からの借入に対する保証といった独立に向けた支援をするケースも多くあります。そのため、本部としては、一般的なフランチャイズ事業よりも財務的なメリットが減ります。

また、独立者に対して直営店を譲渡する場合、その店舗の選定基準が難しくなります。収益の良い店舗の場合は、本部としての収益力が落ちてしまいますし、収益の悪い店舗だと独立制度としての魅力が無くなります。

 

加盟前提型は、フランチャイズ加盟を目的として、加盟前に一時的に労働契約を締結し、独立(加盟)を目指すというものです。

このタイプの制度として有名なものが、カレーチェーン最大手のココイチを展開している式会社壱番屋の「ブルームシステム」で、現代版のれん分けと言えるものです。

ココ壱番屋に加盟したいと思ってもすぐには自分のお店を持つことはできません。いったん壱番屋へ入社をし、複数の店舗勤務を通じて経営者に必要な店舗経営力を身につけたと認められることでその資格が発生します。

壱番屋のホームページによると、ブルームシステムでは9つの等級制度があり、独立資格を得るのは3等級以上で、入社から5~6年での独立が多いようです。また、独立条件をクリアできず諦める人も多くいるようで、実際に独立オーナーになるのは1割未満とのことです。壱番屋の独立支援制度は狭き門となっていますが、だからこそ失敗する店舗は少なく、業界最大手のカレーチェーンを築くことができたのです。

 

アメリカンジム・フランチャイズは投資額も大きいため、基本的には法人企業に向いているフランチャイズです。

アメリカンジム・フランチャイズは、フィットネスジムのフランチャイズのなかでも、いわゆる「ビジネスフォーマット型」ではありますが、加盟店オーナーの手間をできる限り減らすための仕組みが組み込まれており、多店舗出店がしやすいビジネスモデルとなっています。