フランチャイズの展開パターン
「フランチャイズ」と一言で言っても、社会構造や政治・経済、市場環境の変化に伴い、昨今では、様々なタイプのフランチャイズビジネスが展開されています。
例えば、
- 商材や商売のやり方は揃えるが、店舗名や商標は統一しない
- 看板は統一するが経営のやり方には自由度がある
- 加盟金を徴収し店舗オープン支援まで行うが、その後の指導はせずロイヤルティも発生しない
など。
フランチャイズビジネスでは、フランチャイズパッケージとして、
- 商標の継続的使用の許可
- 経営ノウハウの提供
- 継続的な経営・運営指導
- 差別化された製品の供給
の4つを加盟店へ提供しますが、これらのすべてを提供するのか、一部だけを提供するかによって展開パターンが変わります。
この他、「フランチャイズ」という名称を使わずにチェーン展開をしている例などもありますが、フランチャイズビジネスかどうかは実体で判断されます。商標の使用や、経営に対する指示・指導、それに対する対価の受領などについて、一定の要件を満たす場合、フランチャイズビジネスと同様の法的制約を受けることがあるので注意が必要です。
ステルスフランチャイズというものもある
新聞やビジネス雑誌などで「ステルスフランチャイズ」という、フランチャイズの種類が紹介されたことがあります。フランチャイズとしての機能を一部持ちながらも、屋号やメニューについて加盟店の自由度をある程度認め、各オーナーのやる気を促す仕組みとして紹介されました。飲食を中心に、いくつかの企業の事例が紹介されており、フランチャイズでありながらも、
- 決められた屋号でなく自由に店舗名を決められる
- メニューや店舗内外装は、ある程度自由に決められる
- 加盟金・ロイヤリティがゼロ(または安価)
- 原材料の仕入れは本部から行う
といった特徴について説明されていました。
通常のフランチャイズと異なり統一した看板を掲げないため、顧客からは一見してチェーンとは見られないことから、ステルス(=こっそりと隠れる)フランチャイズという意味で名づけられたものと思われます。以前から食材業者等が展開していてきたビジネスモデルで、「フリーネーム」「フリーブランド」などという名称でフランチャイズ展開している例が多数あります。
ステルスフランチャイズは、ビジネスの実態としてフランチャイズではないため、中小小売商業振興法による情報開示書面の提示が不要になるケースが多いと思われます。一方、競業禁止の法的根拠が希薄になったり、加盟店から食材取引を打ち切られたりするリスクがあり、本部としては注意が必要です。
アメリカンジム・フランチャイズは、「アメリカンジム」という看板を掲げ、本部が開発、直営店にて35年にわたり蓄積したノウハウを提供、開業後も一定の経営指導を行います。
そのためフィットネス事業の経験がない方でも、同じビジネスが展開できるような仕組となっています。
さらに、加盟店オーナーの手間をできる限り減らすための仕組みが組み込まれており、多店舗出店がしやすいビジネスモデルとなっています。